日本で扇子の素材と言えば、竹骨に和紙、もしくは布で作られていることは多くの人がご存知でしょう。
しかし、これはあくまでも日本での知識であって、スペインやフランスなどでは、まったく別の素材を思い浮かべる人がいることも事実。
これは何故なのか?扇子は日本生まれのはずなのに?!と、疑問に思うお気持ちはわかります。
それを今回は解決しつつ、世界と日本の扇子がどう違うのか?についてご紹介していきます。
日本生まれの扇子はどのように世界に広かったのか?
扇子は平安時代の頃に誕生したと言われ、現在では日本を代表する伝統工芸品となっています。
一方で日本の扇子ではない、明らかにその土地(国)の風土に合わせて変化した扇子も存在します。
気になるのはいつ、日本の扇子は世界に伝わったのか?と言うことです。
日本の扇子はポルトガルから広まった?
宣教師の来日など、ポルトガルと交易があった当時、日本で使われていた扇子を気に入った船乗りが、ポルトガルで広めたという説が有力ではないか?と思います。
何故ならば、ポルトガルとは陸続きでお隣さんのスペインやその隣にあるフランスで使用されていること、ロシアには独自に変化した扇子がないことが根拠として挙げられます。
ちなみにポルトガルでは、男性が扇子を使うことは基本的にはないようで、もし使っている場合、ホモセクシャルであると言うレッテルを貼られるそうです。その為、ポルトガル人の男性にお土産としての扇子を渡すことは控えましょう。
クリスティアーノ・ロナウドやジョゼ・モウリーニョ、ルイス・フィーゴやルイ・コスタには間違っても扇子をあげないようにしましょう、
スペインと日本の扇子の違いは?
ポルトガルから流れてきた扇子は、スペインで華やかな装飾を身につける様になります。
また、現在でも見られる使い方としては、扇子はフラメンコ用に使用されていることが分かります。
その特徴を見ていきましょう。
スペイン扇子について
スペインの扇子は日本の様に扇面が主役とは言えません。形状自体は日本の物を変わりありませんが、扇面に何かを描くのではなく、全体を通して伝えたいデザインを表現しているように感じます。
また、骨の部分は竹ではなく木を使っていますし、扇面は布であしらった物があったりなかったりします。
さらに色彩も情熱の国であることが伺え、原色のカラーを大切にしたい印象を受けました、
なおフラメンコを行う際、動きやすく快適に扇子と使うため、骨には多く風穴が空いています。これも風土に合わせた変化と言えるでしょう。
フランスと日本の扇子の違いは?
スペインのお隣にあり、栄華を極めた国家フランスは、独自に変化した扇子にも面影を見ることができます。
ザ・貴族!という印象のある扇子であり、中世を描いた物語の中で小道具として使用されています。
その特徴を見ていきましょう。
フランス扇子について
フランスの扇子と聞くと、羽がモファーとついたアレを思い浮かべるかもしれません。
もちろんあれもフランスの扇子ではありますが、扇面に布を貼り、スパンコールなどで飾り付けを行った物もございます。
また、骨を木や竹ではなく、プラスチックのひとつであるベークライトで制作した扇子がございました。
ちなみにベークライトとは、フェノール樹脂を呼ばれる物で、世界で初めて植物以外の原材料を使って人工的に作られたプラスチックです。
フランスはフランスらしい華美な扇子と言えるでしょう。当時の日本では、とても考えられないような見栄えのする一扇です。
日本と世界の扇子の決定的に違う部分は?
スペインやフランスの他、中国にも扇子があります。
ただ日本と大きな変化が見て取れる物ではなかったので割愛しました。鉄扇と呼ばれる物もありますが、これは根本的に違う物ですし。
それを踏まえた上で、日本と世界の扇子の決定的に違う部分について考えてみたいと思います。
骨が違う
日本の扇子は竹骨を使います。これは中国の物も同様です。
しかし、スペインやフランスの物は、この素材が違います。竹が手に入らない状況の中、それを代用する素材を元に扇子を作ったのでしょう。
装飾の有無
日本の扇子が装飾を付けるとしたら、それは要に付ける房ぐらいなものです。
しかし、スペインやフランス、そして中国の扇子には、装飾をいろいろとデコレートしています。
この辺は日本人の美意識がそれを許容しなかったと言うだけで、もし日本発祥の物ではないとしたら、現在の扇子は様子が変わっていたかもしれません。