うっかり扇子にお茶やお水をこぼしてしまったー・・・。
日常的に扇子を持ち歩いているのではあれば、決して珍しいことではなく、そういうことが自分の身に起こっても何ら不思議ではありません。
しかし、そういう時は慌てず騒がず、水に濡れた扇子をきちんと乾かしましょう。でも、どうやって?
それをこれからご紹介します。一般的に水濡れで大きなダメージを負うことのある、本でも通用する方法ですから、その点も頭の片隅に置きながら、ご覧頂ければ幸いです。
扇子をはじめとする紙類が水を苦手としているのは何故?
扇子の水濡れについて触れる前に、そもそもなぜ紙は、水に弱いのでしょうか?その理由についてお送りします。
例えば服が水に濡れても、乾けば元通りになります。しかし、紙に関しては、一度濡れた紙は乾いても元通りになりません。これがやっかいなわけです。
これは紙が水に弱いから起こる現象であり、布の様に水に濡れても平気であれば、乾いた後も元通りになります。ではなぜ、紙は水に弱いのか?その本題に入ります。
水は紙を溶かすのか?
勘違いしている人が多いのですが、水は紙を溶かしたりしません。トイレットペーパーの様に、一見すると溶けている様な紙でも、水に溶けているわけではなく、分解されているに過ぎません。
この特性を逆手に取っているのが、扇子に使われている和紙を作る工程です。水の中で紙の形になるように、何度も透いて作り上げます。
水が紙を溶かせないことは、このことからもお分かり頂けるでしょう。そもそも紙は、もともとは木や植物です。水に溶ける物質からできていないのです。
なぜ紙は水に弱いのか?
それは紙の繊維でもあるセルロースが水に弱いからです。そもそも紙を構成している繊維はそれぞれが短く、多く集まって水素結合しています。しかし、水に濡れてしまうと結合が弱くなり、バラバラになってしまいます。
その結果、水に濡れた紙はふにゃふにゃになります。
乾かしてもふにゃふにゃなのは何故?
例えしっかり紙を乾かしても、水に濡れた部分がふにゃふにゃなのは、一度バラバラになってしまった繊維が元通りの結合をすることが難しく、別の場所で水素結合をしてしまうためです。
なぜ紙が水に弱いか?この疑問に関しては以上になります。この結果から分かることは、結局上手く乾かしたとしても、一度、結合が切れてしまった繊維は元通りにならないと言う答えです。
これはつまり、扇子が水に濡れてしまったら、完全に元通りにはならないと言うことです。この点を念頭に置いて、この先にお進み頂ければと思います。
扇子が水に濡れてしまった時の対処方法は?
一度水に濡れてしまった紙は、もう二度と完全に元通りになることはありません。それはどんな手段を使ったとしても、一度切れてしまった結合は再び結合することはないのです。
とは言え、ふにゃふにゃな部分が出来上がってしまうのは避けたいところです。そこで、出来る限りの対応策をご紹介します。
扇子を強めに縛ることで解決する方法
扇子の形状を考えると、閉じて縛れば、形を整形することができます。その手順は以下の通り。
- しっかりと水に濡れた部分に吸水タオル、もしくはペーパーを当て、出来る限りの水分を取ります。
- 扇子をゆっくりと閉じます。その際、水に濡れた部分には吸水ペーパーなどを当てたまま閉じます。
- 糸や紐で縛ります。タコ糸やビニール紐が良いでしょう。
- 風に当てます。自然な風よりも常時、風を送れる扇風機やサーキュレーターをご使用下さい。
- 1日ほど経過したら解きます。そして、扇子を開いてみましょう。
普通に乾かすよりも、しっかりと吸水できております。
開いたまま扇風機に当てる、もしくは自然に乾燥させる、吸水性の高い布や紙に包むなど様々な方法がございますが、それらよりも確実に水濡れ後の形状を整形するのに、ご紹介した方法がオススメです。
もちろん、水に濡らさないことがベストですが、もし濡れてしまった場合は、こちらの方法をお試しください。
扇子が濡れる前に対処する方法はないのか?
水に濡れることを逆算するのであれば、あらかじめ水に濡れない様にすればいい訳です。言い方を変えれば、水に濡れても大丈夫な様にすれば対処できます。
しかし実際、水に濡れても大丈夫な様にするにはどうしたらいいのでしょうか?その答えは、撥水スプレーです。
撥水スプレーの中には、紙にも使用できる物がございます。そうした物を使い、念のため撥水機能を扇子に施しておく。ただそれだけで、水に濡れても安心できます。
扇子が水に濡れる状況は、雨の日に屋外で使用する以外にも様々な要因が考えられます。だからこそ、事前に対策を整えておきましょう。
撥水スプレーであれば、ホームセンターなどで気軽にご購入できます。
なお、紙に使用可能な撥水スプレーに関しましては、ホームセンターのスタッフさんにご相談下さい。
また、撥水スプレーを扇子に塗布した際、印刷されたデザインに何らかの変化が生じる可能性があります。撥水スプレーのご使用は十分ご注意の上、ご自身の判断でお使い下さい。