留め袖を着る時には扇子を使う。それは、昔から当たり前の様に知られた作法の一つです。
着物レンタルを行っているお店でも、祝儀扇子や末広は一式セットの中に含まれていることから、作法というか、決まりとして定まっているものなんだろな? と言う印象を受けます。
そんな、祝儀扇子や末広についてご紹介していくと共に、オリジナル制作に関してもお伝えいたします。
祝儀扇子と末広の違いは?どちらも同じ物なの?
祝儀扇子と末広。この2つ言葉には、別々の意味合いが込められています。
祝儀とは?
人生の節目において金品を贈ることです。それは慶事だけではなく、嬉しいことがあった時や活気を与える時など、様々な状況で渡される物となります。また、弔事に贈られる物を不祝儀といいます。
末広とは?
扇子の形状を模して名づけられたもので、末広がりに良い事が続くと言う意味合いを持つ縁起の良い言葉です。
言葉の成り立ちや意味そのものが違うのであれば、祝儀扇子と末広は違う物なのか?と思えば、同じ物を指しています。
正確に言うならば、同じ状況で使われる扇子を指し示しています。
祝儀扇子と末広とはどんな特徴がある?
祝儀扇子も末広も同じ物ならば、その2つにはどんな特徴があるのか? 今度はその点について触れていきましょう。
- 祝儀扇子や末広には柄がない!
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最近では可愛い小物や和雑貨として、人気になっている扇子。扇面には様々なデザインが施されている事が普通になっています。
しかし、祝儀扇子や末広は柄物をNGとしています。
- 骨は黒が基本!
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祝儀扇子や末広の骨は黒色が基本です。留め袖の色に合わせて白骨や蒔絵入りの物も使用されますが、黒骨であれば状況に左右されません。
- 祝儀扇子や末広は扇ぐための物ではない!
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一般的な物と違い、祝儀扇子や末広は、扇いで涼を取る為には使いません。閉じたままで使用する物です。
- 表は金で裏が銀!
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祝儀扇子や末広は、いわゆる両貼りで仕上げられた物です。
表には金色の紙、裏には銀色の紙を丁寧に貼った物が正当な祝儀扇子であり、末広となります。
- 気持ちを表わす!
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祝儀扇子や末広は帯にさしていることで、口にせずとも伝わる気持ちがあります。
それは作法なので、感情を露わにする必要はなく、感じ取ってもらえます。
祝儀扇子や末広は、ご紹介した様な特徴を持っています。作法として使われる物なので、留め袖には欠かせません。
祝儀扇子や末広を使う上での作法はある?
今度は留め袖と祝儀扇子や末広の関係性について触れていきましょう。
留め袖を着る時には、祝儀扇子や末広を左側の帯にさす事は作法として決まっています。
これは懐刀をイメージした物で、さす場所、そして抜く際の手順さえも決まっています。
- 祝儀扇子や末広のさす場所
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左側の帯に懐刀をさす様にして祝儀扇子や末広をさす。ただ左側の帯にさせばいいわけではなく、前帯である必要があります。
また、帯と帯揚げの間に差す事が作法とされます。
- 祝儀扇子や末広のさす方向
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諸説あり、金色の側を表(相手側)に向ける事が良いとする説が多いようです。ただ、親族間だけで通じるルールなども存在するようで、ご自身が当事者になった際に確認する事をオススメします。
- 祝儀扇子や末広を手に持つ時
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左手で抜き始め、抜き取った時に右手を添え、そのまま右手で柄を持ち、今度は扇部分に対して下から左手を添えます。
なお留め袖を着る時は、挨拶をする時以外、扇子を手に持つことはありません。
- 黒振り袖やその他の振り袖
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黒振り袖を着る時には、黒骨の祝儀扇子や末広を使います。
その他の色の振り袖や訪問着を着る場合には、白骨や骨に蒔絵が入った物でも良しとされます。
祝儀扇子や末広を使う時には、きちんとした作法がある為、それを確認しながらお使い下さい。
オリジナルで祝儀扇子や末広は制作できる?
祝儀扇子や末広は、デザインが形式的で決まっている為、オリジナル要素の少ない物です。
オリジナル要素を出しにくい物なので、オーダーメイドで作るにしても、品質を重視した制作内容となるでしょう。
なお扇子は、贈り物としても大変人気の高い物です。
祝儀扇子や末広をお求めの状況であれば、記念品や贈り物を一緒にお探しの場合も多いのではないかと思います。
記念品や贈り物として贈る扇子をオリジナルで作るのは、当店でもよく頂くご注文の一つです。
一般的に行われる制作内容として、親骨への名入れや扇面へのメッセージなどを書くことが出来ます。
また、紙貼りだけではなく、布を扇面にした逸品を作成することも可能です。
この様に様々なアイデアを取り入れたオリジナル扇子を当店ではお作りいただけます。ご検討の際は、お気軽にご相談下さい。