オリジナル制作を主に行う扇子工場として、時には歴史のお勉強などもするものです。
そうした中、ぶち当たってくるのが、歴史の流れが変化を起こす扇子を取り巻く状況。
元々は、そんなことだったのか-!と、感じる事も多々ございます。
そうした学びと気付きの中で扇子が関わる『違い』について、まったりと掘り下げてご紹介していきます!
扇子と扇の違いは?存在そのものについての雑学
扇子と扇、この2つの違いが分かりますか?
そもそも、扇子と扇って違うものなのでしょうか?こちらの方が気になるところです。
端的に言えば、扇子も扇も同じものです。
この違いを説明する上で、どうしても団扇の存在は欠かせません。
扇子と扇、そして団扇、この3つの存在を絡めて、分かりやすく噛み砕いてご紹介します。
- 扇は行動を表現した言葉である
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扇のみ単体で使用すると名詞ですが、送り仮名に『ぐ』を付けると動詞になります。
当たり前なことですが、これが扇の始まりには深く関わっています。
扇とは扇いでる状態のことであり、風を起こす道具全般に付けられた呼び名でした。
したがって、団扇も扇の一つであったわけです。だから、団の扇=丸い扇と表されています。
分かりやすく例えるなら、扇は野球やサッカーなどの競技名。団扇はヤンキースやバルセロナと言ったチーム名です。
- 扇子は団扇から発展したアイテムである
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扇子は団扇を携帯用にしようと、日本で誕生した伝統的な和物です。
遥か昔のこと、1000年以上前に団扇が大陸中国から日本に伝わってきました。
この時に伝わった団扇は、長い柄のついた物や、形が随分と尖った物、それ武器でしょ?って物、いやいや、これで仰いでも涼しくないよ?って物など様々。
日本に団扇が伝来してから、しばらく時代が経った頃、使いやすさを考慮して、折りたたみ式の扇子が開発されました。
折りたたむ扇だから、団扇と呼ぶわけにはいかず、小さな扇と言う意味を込めて、扇子と呼ばれました。
簡単に言えば、扇子は団扇の子供であると言うことですね。
これを分かりやすく例えるなら、ベースボールの子供が、野球みたいな感覚でしょうか?
日本野球はスモール・ベースボールと呼ばれますし、扇と扇子の関係に似ている気がします。
- では、いつから団扇と扇は切り離されたのか?
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団扇が扇と切り離された理由は、歴史の中で埋もれてしまったようです。
言葉や呼び名の変化は、たった10年~20年であっても生じます。
それが100年~500年と言った単位であれば、原型が何処にあるのかさえ、文献にも残っていない言葉が存在します。
扇子と扇、そして団扇、それぞれの呼び名は時代の流行や権力者の気分などで、入れ替わり現在の形に落ち着いたと言う結論になります。
とは言え、うちわをおうぎと呼んでも、間違いではないことはご理解頂ければと思います。
結論!
扇子と扇、この2つに違いはない!
1本と1枚の違いは?扇子の数え方についての雑学
現代では日常生活の中で、扇子の数え方について気にされることは少ないです。
こうして扇子について考える事が多いだろう私でも、数え方を気にすることはありません。
と言うことで、今日は気にしてみました。扇子はどうやって数えるのか?
- 一般的に扇子は1本と数えます。
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日常会話の中で扇子の数を数える時は、1本・2本と数えていれば安心です。
また扇子は基本的に1枚、もしくは2枚の和紙を貼って作る為、1枚・2枚と数えるのも間違いではありません。
ただし、1枚・2枚と数える場合、既に開いた状態である印象を強く持ちます。
逆に1本・2本では、閉じている印象を強く持つため、扇子の状態に応じて、呼び方を変えるのもありですね。
なお、上品な言葉で数えるならば1がら、もしくは1へいと数えてみてはいかがでしょうか?
ちなみに、風を生み出す部分を扇面や面と呼ぶ為、1面・2面と呼ばれることもあります。
握って持つことから1握・2握という団扇の数え方や、1把・2把、さらには1扇・2扇と数えられる事もあります。
結論!
扇子の数え方は、1本か1枚が現代的!
「ずつ」と「づつ」の違いは?既製品扇子をご注文する際の雑学
既製品扇子に限ったことではありませんが、ご注文する上で『1本ずつ、個別に納品して欲しい!』なんて状況があると思います。
この時、1本ずつなのか?それとも1本づつなのか?気になりませんか?
この2つの違いって、実は些細なことであり、文章などに起こした際、どちらを用いても間違いではないんです。
しかし、現代的に文章を書くのであれば、1本ずつと記した方が正しい感じになっていますし、1本づつにしちゃうと間違っていると言われてしまう可能性があります。
『ずつ』は現代仮名遣いとして、現代の公用文などで使われるのに対し、『づつ』は歴史的仮名遣いであり、第二次世界大戦が終わるまで公用文などで用いられていた言葉になります。
結論!
現代人なら基本的に『ずつ』を使おうね!
包装と梱包の違いは?扇子を納品する際の雑学
扇子のオリジナル作成を行い、納品の方法を指定する際、『きちんと◯◯して下さい!』と依頼する場合。
この『◯◯』には、どんな言葉を入れますか?包装でしょうか?梱包でしょうか?
そこで今度は、この包装と梱包の違いについてご紹介します。
- 包装はヒョロい感じ
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イメージとして包装と言えば、ものすごく簡単な包みを想像します。
例えば、お花屋さんや本屋さんでは花束を包装する、あるいは本を包装するになります。
- 梱包はマッチョな感じ
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片や梱包と言えば、もっとしっかりとした包みを想像します。
例えば、荷物をダンボールに梱包するや、作品が壊れない様に梱包するなどです。
大きくまとめるならば、梱包だって包装になります。
と言うのも、包装とは何か形のある物を包む行為、もしくは包まれた状態を示します。
その中で、梱包とはどんな状態なのか?
それを探るヒントは、『悃』と言う漢字にあります。
- 悃とは?
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悃には、まごころや誠意と言った意味があります。
ということは、梱包とは、『心を込めて包装する』って意味になります。
商品が傷つかない様に送り届けるのであれば、全てにおいて、梱包と使うのが正しいのかもしれません。
しかし、現実的な解釈として、軽い包みや華やかなにラッピングされた状態が包装で、中身が壊れない様に包むのが梱包と解釈して良いでしょう。
結論!
梱包とは、包装の状態を表現した言葉!
ちょっと一休みして・・・了解と了承の違いは?各場面で見られる言葉の雑学
個人的には了解と了承には、それぞれに意味付けをして使っています。
この意味付けは、理『解』と『承』知から来ています。
『了』の意味するところが終わりであるならば、私の解釈は正しいと考えています。
ある文章に対して、ご理解頂けましたでしょうか?という意味のご了解。
ある文章に対して、承け入れて頂けましたでしょうか?という意味のご了承。
実際に新撰国語辞典では『了解』を理解することや、納得することと紹介しています。
一方の『了承』は、承知することや聞き入れることと紹介しています。
日常的な文章で使う上では、この用法であれば間違いありません。
なお稀に、了解の意味を勘違いしている方がいます。簡単な挨拶としての『了解っ!』と同じに捉えているようです。
その為、特にビジネスの世界では、目上の方には使わないのが賢明です。
結論!
『解』と『承』の意味から使い分ける!