扇子を日常的にお使いになっていると、ちょっとした変化を求めたくなるもの。一番手軽に行えるのは、いつもとは違う扇子を使うこと。当然ですけど。
次に手軽なのは、扇子に上品な香りを求めることです。とは言え、香りがある扇子なんて、自分で簡単に作れるものでしょうか?
そこで今回は、お気に入りの扇子に香りを付ける簡単な方法をご紹介します。
香りがついた扇子は作らなくても存在する?香木について
香木扇子と呼ばれる物があります。これは、扇子の骨に独特の香りを放つ香木を使用したもので、非常に古くから愛されてきた嗜好品の一つです。
香木扇子ならば、香りを後付けしなくとも、良い芳香を放っております。しかし、香木の種類も限られ、価格的にも決してお求め易くはならないため、日常使い用の扇子にはオススメしません。
それを踏まえた上で、扇子へ香りを簡単に付ける方法をご紹介します。
扇子に香りを付けるのは簡単?原理は樟脳と一緒です!
扇子にお好みの香りを付けるには、「防虫剤の樟脳(しょうのう)」が分かれば理解が早まります。
- 樟脳の香りは染み込む?
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樟脳は、しまってある衣類などを取り出そうと収納棚を開けた時、鼻をつくような芳香を放ちますよね?そして取り出したばかりの衣類は、暫く樟脳の匂いが漂っています。
これは衣類に防虫剤である樟脳の匂いが染み込んだためです。
紙が主な素材である扇子にも同じ現象が起きます。
ある程度、匂いの強い物と扇子を一緒に箱などの密閉空間に入れ、面を構成している紙に匂いを染み込ませるだけでです。
扇子に香りを染み込ませる6つの方法をご紹介!オススメはディ◯ーターです!
扇子に香りを付ける方法は分かったけど、どれくらいの期間、染み込ませれば良いのか?香りの物はなんでもいいのか?など気になる事があります。
今度は、この点について解決していきましょう。
- 香りを染み込ませる期間
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1晩、香りの元と扇子を同包しておくだけで、匂いは染み込みます。扇子の面は紙や布で作られており、比較的、匂いが染み付きやすい素材です。
もちろん紙の質により染み付く具合は変わってきますが、和紙であれば、しっかりと香りが付きます。
1日使用するには1晩ぐらいがちょうど良いと思われます。
なお放たれる香りの量は、染み込ませる期間や染み込ませ方により変わります。
ちなみに香りを染み込ませる際、必要になる道具は以下の物です。
- 扇子
- 香りの元
- 密閉出来る箱
- 布切れやコットンなど
これらをご用意頂ければ、すぐにでも扇子に香りを付けられます。
扇子に香りを染み込ませる方法
- 香水をつける
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香水をつけるのは、非常にオーソドックスな方法です。
この場合は、箱に密閉せずとも大丈夫!
扇子の面に直接一吹きするだけで、その香りを染み込ませる事が出来ます。なお香水の場合、匂いが取れにくいこともあり、お気に入りの香りに使用しましょう。
扇子の面、全体に香りが行き届くように、20~30cmほど離した位置から、香水を一吹きしましょう。
- 香布を作る
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香布とは、たった今作った造語です。
香水を布やティッシュ、コットンなどに吹きかけて、匂いを染み込ませた物を指しています。
これを開いた扇子と一緒に密閉できる箱の中に入れます(1晩)。香水を直接吹き付けるより優しい香りがしますし、染み込んだ匂いも取れやすいです。
そのため、一扇で様々な香りを楽しむことが出来ます。
- アロマオイルと一緒に密閉
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アロマオイルの蓋を開け、開いた扇子と共に、箱の中に密閉します。
アロマの癒される香りが、扇子に染み込んで素敵なアイテムが作れます。もちろんアロマオイルなので、様々な効果もありオススメです。
- ゆずの香りを付ける
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ゆずにはユズノンと呼ばれる、強い香り成分があります。
これは1個辺り、極僅かにしか含まれませんが、ゆずの香りを作っている核とも言えます。
このユズノンの香りを扇子に付ける方法は、皮を絞るだけ。普段、ゆずを絞る時、果肉の方を表にして絞りますが、これは香りを楽しむ上では間違っています。
ゆずの香りは皮側にあるため、皮側を表にして絞ります。直接扇子に吹き付けてしまうと染みが出来てしまうため、汁が触れない様に絞りましょう。
香りが強い柑橘類なら、全部可能ですが匂い自体の強さに影響を受けます。
- ディメーターを使う
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ディメーターと言えば、知る人ぞ知る、フレグランスです。
シャボンの香りがするランドリーをはじめ、ストロベリーやレモンなどのフルーツ、雨降り後やピザなどの変わり種まで、面白い匂いが溢れています。
ディメーターの中からお好みの香り、気になる匂いなどをチョイス。これを扇子に振りかけたり、香布を作り、匂いを染み込ませたりしましょう。
色んな香りがあるディメーターなら、飽きるということは無く、楽しく扇子を使い続けられると思います。
- 石鹸と共に密閉
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石鹸の香りは、いくつになっても懐かしいと感じるものです。
また石鹸が持つ爽やかな香りは、清潔感を感じさせ、嫌いな人などいないでしょう。扇子が起こす風や香水の香りが嫌な人でも、石鹸の匂いなら受け入れて頂けるハズ?
固形石鹸と扇子を箱に入れ、1晩置くことで簡単に香りが付きます。
以上のように扇子に香りをつけることは、非常に簡単に出来ます。今、家庭内にある物で済んでしまうぐらい手軽です。
なお揮発性のある物を使用する際は、火気にお気を付け下さい。
扇子に染み込んだ香りを持続させるには?
香りを付けた扇子は元々が無香の物なので、時間と共に匂いは消えていきます。
なるべく香りを持続させたい場合は、扇子袋に入れて持ち歩くこと、使用する時間を制限することが挙げられます。
ただし香りが立ち消えていくことも風情と捉え、日本的な美意識と考えて頂けると思います。また、香りが消えた場合は、また別の匂いを付けて楽しむ事が出来ます。
嫌な臭いが染み込んだ場合はどうやって除去する?
扇子の面は匂いが付きやすい素材です。そのため、嫌な臭いも簡単に染み込んでしまいますので、なるべくなら匂いが付く場所での保管、匂いが付きそうな場所での使用は避けて下さい。
もしも、染み込んでしまったら、消臭剤と共に密閉するのが一番得策です。消臭剤の特徴は、単に今ある臭いを消すのではなく、嫌な臭いを吸着する力を持っていること。
その力を利用するため、扇子と消臭剤を同じ箱に入れ、密閉しましょう。
以上が扇子に匂いをつける工程です。また注意すべきことです。無香の扇子も確かに味わい豊かですが、好きな匂いがひと扇ぎごとに漂うのはとても素敵なことです。
普段使いの扇子になにかひと工夫をしたいなら、今回の記事をお役に立てて頂ければ幸いです。