なぜ棋士の皆さんは、示し合わせたかのように、扇子を手にしているのか?
時折、仰いでみたり、口元を覆ってみたり、扇子を閉じて開いてを繰り返したり。
確かにテレビ中継される対局を見ていると、気になってしまう時があります。
扇子工場としては、すべての棋士が当店でオリジナル制作してくれると嬉しい限りなのですが、それは置いておいて、対局中の扇子について一般的に言われていることにプラスして、自分の考えなども交えてご紹介します。
冷静さを装うために対局中は扇子を手にしている
将棋でも囲碁でも、勝負事である以上、互いが互いの指し手を見て、思わず口元が緩んでしまうこともあるでしょう。
逆に、興奮して歯を噛みしめることもあるでしょう。
そうした表情の変化は勝負事で、状況を変化させてしまうことにも繋がります。
また余裕の表情は、相手に対して失礼ということもあるのでしょう。
だから扇子を自然に開いて、口元を隠すのではないでしょうか?
将棋の羽生3冠(2016年10月現在)が、勝利を確信した一手を打つ時、手が震えることがあったのは有名の話ですが、それでも表情は平静を装っていました。
それも相手への配慮でしょうし、土壇場で勝負を一辺させられないようにする為かもしれません。
クールダウンを行うために対局中は扇子を手にしている
将棋でも囲碁でも、棋士は頭の中で、何千何万の手を指しています。
その結果、頭に熱を帯びるのは当たり前の話です。
血が昇るといった表現をしますが、勝負ごとに入り込むと、全身が熱くなり、特として最善の一手が浮かばない状況も起こり得るかもしれません。
そうならない為に、熱くなってきたら扇子で扇ぎ、クールダウンを行うのでしょう。
リズムを取るために対局中は扇子を手にしている
扇子を開いて、閉じる。ただそれだけの行為は、手持ちぶたさをなくします。
実際、両手に何も持たず、長時間座っているのは意外なほどに苦痛を伴います。
しかし扇子を手にして、開いて閉じてを繰り返してみたり、手のひらを叩いてみたりするだけで、苦痛を和らげ、ストレスを軽減し、対局に集中することが出来ます。
また単純に叩くリズム、開いて閉じるリズムなど、自分のテンポを体に刻むのは、安心感やリラックス効果があります。
特にはじめての場所に足を運んだ時、見慣れたモノやいつもの感覚があるだけで、落ち着きが生まれます。
つまり扇子は対局に必要なのか?
今回お伝えしました理由から推測するに、将棋や囲碁の棋士にとって、対局中に扇子は欠かせないのではないでしょうか?
私事ですが、長時間、何も手に持たないのは、かなり嫌です。何かを持っていると落ち着きます。
もし、棋士の方に何かプレゼントや贈り物をする際は、美しいデザインが表現されたオリジナル扇子を贈ってみてはいかがでしょうか?